読書感想2 ~コンビニ人間~
第155回芥川賞受賞作の、村田紗耶香さんの超超超有名な本である。
これも今更である(笑)
そういえば、村田紗耶香さんの世界観を浮かび上がらせる展覧会が8/20より東京で開催されているらしい。このタイミングで読んだのは本当にたまたま。にしてもいいなぁ東京。
まず、私は約4年間コンビニでバイトしていたので、「コンビニ人間」で書かれている様々なコンビニ内の描写は、わかるー!わかるー!の連続で、普通に面白い。特に、レジに人が取られてどうしようも無い。という描写でゴルフの宅急便を受付してる。っていうのは、ほんとそれー!という感じだった。
主人公は昼勤のアルバイトである。私は夕勤メインだが、朝・昼・夜勤も全て経験があるから、それぞれの仕事の違いとかも出てて、そうだよね~ってなる。
でも普通に、ここのコンビニすげーちゃんとしたコンビニだなって感じ。
主人公はコンビニ内の繊細な空気も感じ取れる。なのに、プライベートになると、空気が読めない感じの人になってしまう。どうにか空気を読んで普通の人のように取り繕うけど、周りは多分気づいている。なんか違うと。で、その周りが引いている感じとかは感じ取れる。
で、その主人公がまぁ色々あって男と一緒に暮らすことになるのだが、そのことを周りの人に伝えたことから世界が一転してしまう。みんなから、私が今まで普通じゃないと思われてたんだということにやっと気づく。そして、周りの目線や会話が今までと違ってくる。特に妹からの一言はきつかった・・・。
「お姉ちゃんはもう治らないの?」って泣き出す。今まで、お姉ちゃんはそのままでいいよ。って唯一肯定してくれていたのに、その妹が普通の姉を求めていたことにそこで気づく。なんかとても苦しかった。でもとてもリアルだった。
唯一リアリティが無いと思うのは、その一緒に住む「白羽」という男。こんなやつ、実際いるのかもしれないが、私自身出会ったことが無い。そしてめちゃくちゃイラっとする奴だ。だけど、たまに本質をついてくるような事を言う。なので、なんだか複雑な気持ちになる。凄く嫌な奴なのに、なんだか嫌いになれない。でも嫌いだ。という感じ。
最後は、ハッピーエンドのような、そうでもないような終わり方で、不思議な気持ちにさせられる物語だった。
結果、面白かった。
凄く短い物語なので、1日で読めた。しかし、短い割にはなんだか凄く考えさせられる話だった。
「多様性」と言われているのに、「普通」を求められる。
これは2018年に出版された本だが、今2021年になってもそうだと思う。
表面上は「多様性」かもしれないが、根っこは全然「多様性」じゃない。
特に、教育に関してはやはりそう。でも教育を変えるなんてかなり難しいことは分かっている。なので、「多様性」じゃないからダメだ!とか言っているわけでは無い。
でも、「多様性」を求めつつ「普通」も求めている感じがしてしんどいと感じる事がある。こっちでは多様性。こっちでは普通。みたいな。使い分けるのがしんどい。
とにかく、この本も是非読むべき作品だと思った。
ではまた。